カルダモン

Elettaria cardamomum 短い花茎が出て、花が咲いた後に小さな情円形の実がなる ・スパイス図鑑。 カルダモン 世界で最も古いスパイスのひとつ。また、サフラン、バニラに続いて3番目に高価なものです。カルダモンの種はキリストの誕生よりもずっと以前からインドで珍重されていて、だんだんと隊商ルートをたどってヨーロッパに持ち込まれました。古代ローマや古代ギリシャでは消化剤や口臭消し、香水の原料としても珍重されていました。インドでは経済的な重要度のうえでスパイスの王といわれるぺパーに次いで、スパイスの女王と呼ばれています。 アラビアの砂漠の遊牧民ベドウィン族愛用のスパイスで、彼らはカルダモンコーヒーをいれて客をもてなしますが、まず使用するカルダモンを見せるのが習わしになっています。ふっくらした傷のない、質のいいカルダモンを使っていますという、歓迎の心を表しているのです。

純粋のカルダモン (学名Elettaria cardamomum) のほかに、Amomum 属や Aframo-mum 属の植物の種が代用品として安く売られています。Amomum subulatum はインドやネパールの東ヒマラヤ地方原産の多年生のカルダモンで、高さは2mくらいになります。筋のはいった三角形の実は深い赤色に熟し、干すと焦げ茶ないし黒色になります。また、Amomum globosum は中国産の丸いカルダモンで、焦げ茶色で毛が少し生え、中華食品店などで見かけます。東南アジアではジャワ産の種類がよく使われているほか、タイのAmomum 種も取り引きされています。また、エチオピア産の Aframomum korarima はグリーンカルダモンの代わりに使われているもののひとつです。こんな純粋ではないカルダモンには少々しょうのうのような香りがあります。

グリーンカルダモン 一番良質とされている。 長さ5~10mの楕円形のさやの中に黒または焦げ茶の香りのいい種が12~20個入っている

ホワイトカルダモン グリーンカルダモンを漂白したものだが、見た目はこちらの方がいいとするむきもある

ブラウンカルダモン 純粋のカルダモンではない。さやは長さ2.5cmほどでざらざらし、味も粗野。40~50個の種が入っている

植物について 分布:南インドやスリランカの、標高750~1500 mの熱帯雨林地域に育ちます。現在ではグァテマラやタンザニア、ベトナムなどでも生産されていますが、南インドのケララ産のグリーンカルダモンが品質や価格の標準となっています。国際取り引きされる際はホールが普源で、緑色のグリーンカルダモン、二酸化硫美で漂白したホワイトカルダモン、日に干し てわらのような色になったもの、さやから出した種だけのものなどさまざまあります。インドではグリーンカルダモンを主に、少量のホワイトカルダモンを輸出し、グァテマラとスリランカではグリーンのみ、タンザニアでは日干しにしたものだけを輸出しています。

特徴:多年生の灌木で、ショウガ科の植物です。成長すると2~5mになります。 

収穫:植えて3年ほどたってから、最初の小規模な収穫をし、その後は10~15年にわたって収穫できます。9~12月になると実が熟しているので、さやかが開く直前に数週間おきに摘み取り、摘み取ったものは天日に干したり乾燥室で乾燥させます。さやは乾燥させると堅くなりますが、緑色がなるべく残っているものが最高品とされています。

香りと味:豊かな芳香があり、種を口に含むと刺すようなしょうのうのような香りがし、 長いこと苦みが残りますが、快い刺激もあります。

利用法 料理:甘い料理にも辛い料理にもよく合います。さやは食べずに、小さくて堅い、香りのいい種を使います。インドではガラムマサラやカレーパウダー、砂糖漬け、ペストリー、 プディング、アイスクリームなどに使われています。アラブ諸国ではカルダモンコーヒーをいれるとき、さやごとコーヒーポットに入れて風味を出しているようです。また、スカンジナビア半島の国々はカルダモンの最大輸入国で、ケーキやペストリー、パンなどに使っています。

薬用:おなかが張ったが、しくしくと痛むようなときに服用するといいといわれています。  種をいくつか口に含むと口臭防止にもなり、 特にニンニク臭には効果的です。東インドや台湾ではキンマというコショウ科の植物の葉にビンロウジというヤシの種子を粉にしたものを巻いて嗜好品として噛みますが、同じキンマの葉、ビンロウジの種とカルダモンを混ぜたものが、インドで口臭消しや消化剤として使われています。

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